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ラップ処理(鏡面研磨)とは、工業用としては超精密部品の最終仕上げの磨き作業で行われ、ラップ剤と呼ばれる細かい砥粒を含ませたラップ液を金属につけて擦ることでピカピカに仕上げます。
ラップには湿式と乾式がありますが、湿式ではちょっと多めにラップ液を使います。
ラップ盤と呼ばれる機械でラップをする場合が相当します。
一方で、乾式ラップは少量のラップ液で磨き上げる作業を指し、主に人の手によるハンドラッピングが相当します。
ハンドラッピングでは、鏡面仕上がりが職人の技量によって大きく差が出ます。
ラップ処理をしたことがない素人では、均一にキレイに鏡面仕上げすることが難しい世界なのです。
ちなみに、工業用品を鏡面にする理由は「見た目がキレイになるから」ではありません。
金属表面がピカピカになるということは、それだけ光をキレイに反射しているということであり、表面の細かい凸凹が無くなっているということです。
金属表面の細かい凸凹が無くなるとどういうメリットがあるのでしょうか?
それは、製品寿命が長くなったり、コーティングのノリが良くなったりすることです。
例えば、パンチと呼ばれる金属を打ち抜いたり、へこませたりする部品は、金属同士がぶつかる部分の目に見えない凸凹から亀裂してしまうことがあります。
なので、ラップ処理することで出来る限り表面の凸凹がないようにすることで、亀裂が入りにくくなる=製品寿命が延びるということになります。
あるいは、コーティングの場合はできる限りツルツルした面の方が均一にキレイにできますよね。
これはステンレス製のオリジナル箸置きです。
表面をラップ処理したもので、半製品のラップ処理をしていない側面を見てみるとその違いが一目瞭然ですね。
このラップ処理は職人さんによるハンドラッピングです。
同じピカピカの表面になる処理にメッキがあります。
専門的なことが分からない一般の方でも想像できるのではないでしょうか。
子供のおもちゃとかにもよく金色の装飾メッキがされたものとかありますよね。
でも、装飾メッキは剥がれるのです。
もちろん、剥がれにくい工業用向けのメッキもあります。
工業用には無くてはならないメッキですが、ラップ処理でないとダメなものもたくさんあります。
それに、ラップ処理は先ほどにも書いたとおり、表面の目に見えない凸凹がほとんどないのです。
表面の凸凹加減(面粗度)を表す記号には、RaとかRzというものがあります。
例えば、鏡面仕上げされた面はRa0.2~Ra0.05くらい。(もっとすごい鏡面仕上げだとRa0.03以下)
計算式はあるのですが、ややこしいですし、それを知ったところで・・・ということもあるので省略するとして、普通に刃物で切削した場合のRa値が25~1.6くらい。
切削でキレイに仕上げてもRa0.8くらいでしょうか(もっとピッカピカに削れるぞ!という業者さんはあるかもしれませんが、「平均的には」という意味で考えてください)。
数字が小さくなればなるほど凸凹がないということです。
なので、ラップ処理がすごい鏡面仕上げしていることが想像できませんか?
これは、とある結婚式の新郎新婦に渡された箸置きです。
”春の門出”にと職人さんがピカピカに磨いたのです。
夫婦というもの、喧嘩をするときもあります。
それでも、毎日使うであろうこの箸置きをみて結婚式を思い出してもらえればと、夫婦円満であることを祈ったプレゼントです。
ラップ処理によって鏡面になった表面は、凸凹がほとんどないので汚れが固着しにくいです。
つまり、長年使ってもピカピカのまま。
色あせることのない、輝きを保ち続けます。
新郎新婦さんには、すごく喜んでもらったという話です。
これは市販されているステンレス製のコップ。
左側は市販品そのまま、右側はコップの内側をラップ処理したものです。
見た目が全く違います。
コップを水道水で洗ったあとに自然乾燥させると、どうしてもカルキのあとが残ってしまいますよね。
あるいは、紅茶やコーヒーなどもコップに長時間入れたままにしていると汚れの原因になりますね。
ところが、コップの内側をラップ処理でピカピカに磨くと表面の細かい凸凹がなくなるので水滴が残りにくくなります。
つまり、カルキあとが付きにくいということです。
素晴らしい!!
試しに・・・とやってみたんですが、予想以上に水滴が残りませんでした。
理屈では当たり前のことなんですけれど、すごい。
これについては、管理人のブログでも紹介しています ⇒ 水垢のつきにくいステンレスコップが完成!